阿弥陀如来とは、生あるもの全てを救う仏様です。
今回は阿弥陀如来について紹介していきます。

阿弥陀如来の由来は?
この阿弥陀如来は、サンスクリット語でアミターバとアミターユスの両方を訳したもので、無量光・無辺・無量寿などと訳されております。
また、西方の極楽浄土の教主で、生あるもの全てを救う仏様であります。
このアミターバは、計り知れない寿命をもつのが無量寿命で、アミターユスは計り知れぬ光明をもつのが無量光明となり、2つを合わせたのが阿弥陀仏となります。
また、光明(こうみょう)が限りなくあると言う意味で無量光如来(むりょうこうにょらい)また、寿命が限りなくあると言う意味で無量寿如来(むりょうじゅにょらい)とも呼ばれております。
この2つの道徳心を持ち合わせた仏陀という事で、救済仏信仰により現れた仏様であり、現在も、西方極楽世界の教主として説法を行っていると言われております。
阿弥陀如来の国は、西方(さいほう)にあって、極楽浄土と呼ばれていて、そこにはまったく苦しみがなくて安楽(あんらく)な世界であると阿弥陀経(あみだきょう)には書かれております。
阿弥陀如来を略すると阿弥陀仏(あみだぶつ)、それをさらに略すると弥陀(みだ)とも呼ばれております。
この阿弥陀如来の救済の力を信じて、「南無阿弥陀仏」と唱えると誰でも死後には、極楽浄土に導いてくれる仏様と言われております。

阿弥陀如来は修行時代に、五劫(ごこう)と呼ばれるとても長い時間考えて、理想の浄土を作るために48の誓願(阿弥陀の四十八願)を立てて阿弥陀如来になったと言われております。
この極楽浄土は、幸福に満ち溢れた世界であって、悩みや苦しみから解放される世界と言われております。
蓮如上人(れんにょしょうにん)は、阿弥陀如来について「阿弥陀仏は十方諸仏(じっぽうしょぶつ)の本師本仏(ほんしほんぶつ)です」と教えておられます。
この、十方諸仏とは何かと言うと、「十方」とは、仏教で大宇宙の事を指し、そこには地球のようなものが無数に存在しており、その地球は大宇宙の中の塵にすぎないです。
そして地球にお釈迦様が現れたと同様に、大宇宙には無数の仏が現れていると、お釈迦様は説かれており、それらの仏を「十方諸仏」と呼ばれております。
最も有名なのは、大日如来・薬師如来・奈良の大仏・毘盧遮那如来などは皆、十方諸仏の中の一仏であります。
次に本師本仏(ほんしほんぶつ)とは、師匠又は先生という意味になり、阿弥陀仏はあらゆる仏の先生であると言う事になります。
地球ではお釈迦様が偉い方ですが、大宇宙から見るとお釈迦様も十方諸仏の一人となる為、阿弥陀仏とお釈迦様の関係は、先生と生徒、師匠と弟子に当たります。
よって、阿弥陀仏が上、お釈迦様が下という事になります。
阿弥陀如来の四十八願とは?
阿弥陀如来の四十八願は以下の通りです。
第一願・・・無三悪趣願(むさんなくしゅがん)
第二願・・・不更悪趣願(ふきょうあくしゅがん)
第三願・・・悉皆金色願(しっかいこんじきがん)
第四願・・・無有好醜願(むうこうしゅがん)
第五願・・・宿命智通願(しゅくみょうちつうがん)・令識宿命の願(りょうしきしゅくみょうのがん)
第六願・・・天眼智通願(てんげんちつうがん)・令得天眼の願(りょうとくてんげんのがん)
第七願・・・天耳智通願(てんにちつうがん)・天耳遥聞の願(てんにようもんのがん)
第八願・・・他心智通願(たしんちつうがん)・他心悉知の願(たしんしっちのがん)
第九願・・・神境智通願(じんきょうちつうがん)・神足如意の願(じんそくにょいのがん)
第十願・・・速得漏尽願(そくとくろじんがん)・不貪計心の願(ふとんげしんのがん)
第十一願・・・住正定聚願(じゅうしょうじょうじゅがん)・必至滅度の願(ひっしめつどのがん)
第十二願・・・光明無量願(こうみょうむりょうがん)
第十三願・・・寿命無量願(じゅみょうむりょうがん)
第十四願・・・声聞無数願(しょうもんむしゅがん)・声聞無量の願(しょうもんむりょうのがん)
第十五願・・・眷属長寿願(けんぞくちょうじゅがん)
第十六願・・・無諸不善願(むしょふぜんがん)・離諸不善の願(りしょふぜんのがん)
第十七願・・・諸仏称揚願(しょぶつしょうようがん)・諸仏称名の願(しょぶつしょうみょうのがん)
第十八願・・・念仏往生願(ねんぶつおうじょうがん)・至心信楽の願(ししんしんぎょうのがん)
第十九願・・・来迎引接願(らいこういんじょうがん)・至心発願の願(ししんほつがんのがん)
第二十願・・・係念定生願(けねんじょうしょうがん)・植諸徳本の願(しょくしょとくほんのがん)・至心回向の願(ししんえこうのがん)
第二十一願・・・三十二相願(さんじゅうにそうがん)・具足諸相の願(ぐそくしょそうのがん)
第二十二願・・・必至補処願(ひっしふしょがん)・一生補処の願(いっしょうふしょのがん)・還相回向の願(げんそうえこうのがん)
第二十三願・・・供養諸仏願(くようしょぶつがん)
第二十四願・・・供具如意願(くぐにょいがん)・供養如意の願(くようにょいのがん)
第二十五願・・・説一切智願(せついっさいちがん)
第二十六願・・・那羅延身願(ならえんじんがん)・得金剛身の願(とくこんごうしんのがん)
第二十七願・・・所須厳浄願(しょしゅごんじょうがん)・万物厳浄の願(まんもつごんじょうのがん)
第二十八願・・・見道場樹願(けんどうじょうじゅがん)・道場樹の願(どうじょうじゅのがん)
第二十九願・・・得弁才智願(とくべんざいちがん)
第三十願・・・智弁無窮願(ちべんむぐうがん)・弁才無尽の願(べんざいむじんのがん)
第三十一願・・・国土清浄願(こくどしょうじょうがん)
第三十二願・・・国土厳飾願(こくどごんじきがん)・妙香合成の願(みょうこうごうじょうのがん)
第三十三願・・・触光柔軟願(そっこうにゅうなんがん)
第三十四願・・・聞名得忍願(もんみょうとくにんがん)
第三十五願・・・女人往生願(にょにんおうじょうがん)・変成男子の願(へんじょうなんしのがん)
第三十六願・・・常修梵行願(じょうしゅうぼんぎょうがん)・聞名梵行の願(もんみょうぼんぎょうのがん)
第三十七願・・・人天致敬願(にんでんちきょうがん)・作礼致敬の願(さらいちきょうのがん)
第三十八願・・・衣服随念願(えぶくずいねんがん)
第三十九願・・・受楽無染願(じゅらくむぜんがん)・常受快楽の願(じょうじゅけらくのがん)
第四十願・・・見諸仏土願(けんしょぶつどがん)
第四十一願・・・諸根具足願(しょこんぐそくがん)・聞名具根の願(もんみょうぐこんのがん)
第四十二願・・・住定供仏願(じゅうじょうくぶつがん)・聞名得定の願(もんみょうとくじょうのがん)
第四十三願・・・生尊貴家願(しょうそんきけがん)・聞名生貴の願(もんみょうしょうきのがん)
第四十四願・・・具足徳本願(ぐそくとくほんがん)・聞名具徳の願(もんみょうぐとくのがん)
第四十五願・・・住定見仏願(じゅうじょうけんぶつがん)・聞名見仏の願(もんみょうけんぶつのがん)
第四十六願・・・随意聞法願(ずいいもんぼうがん)
第四十七願・・・得不退転願(とくふたいてんがん)・聞名不退の願(もんみょうふたいのがん)
第四十八願・・・得三法忍願(とくさんぼうにんがん)
阿弥陀如来のスタイルは?
この阿弥陀如来は、釈迦如来と同様で装飾品は一切付けておりません。
結跏趺坐(けっかふざ)と呼ばれている、安定感があり最上位の坐り方とされております。
また阿弥陀如来の印相は、阿弥陀定印、来迎印(らいごういん)、説法印(せっぽういん)など数種類ありますが、いずれにしても親指と人差し指または、中指と薬指で輪を作っているのが特徴的です。
この阿弥陀如来は、阿弥陀三尊として祀られている場合は、左脇侍には観世音菩薩、右脇侍には勢至菩薩が配置されております。
この脇侍の観世音菩薩は、宝冠には阿弥陀の化仏(けぶつ)を付けており、一方の勢至菩薩は、宝瓶(ほうびょう)を持っておられます。
阿弥陀如来のご利益とは?
現世安穏(げんせあんのん)、極楽往生のご利益があります。
この他のご利益として、南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)と唱えれば全ての人々を極楽浄土に迎え入れてくれると言われております。
また、様々な事情で口に出して念仏を唱える事が出来なくても、念仏を唱えようと思った瞬間から救いを差し伸べてくれると言われております。
この他に、戌年・亥年の守り本尊とされております。
阿弥陀如来の事が書かれている経典
阿弥陀経・観無量寿・無量寿経
阿弥陀如来の祭事は?
毎月15日は、阿弥陀如来の縁日とされており、また、戌・亥年生まれと10月生まれの人の守り本尊であります。
有名寺院
奈良県 東大寺 五劫思惟(ごこうしゆい)阿弥陀坐像(重要文化財)・・・長い瞑想を行ったため髪が長く、帽子のように大きな螺髪(らほつ)が特徴的です。
京都府 永観堂 見返り阿弥陀立像・・・この像は、正面を見ておらず斜め後ろを振り返っています。
長野県 善光寺(ぜんこうじ) 秘仏阿弥陀三尊・・・ひとつの光背(こうはい)の前に三尊が並んでおり、一光三尊(いっこうさんぞん)形式で、善光寺式如来とも呼ばれております。
阿弥陀如来の真言は?
オン・アミリタ・テイセイ・カラ・ウン