不動明王とは、大宇宙の中で最高峰の仏様です。
今回は、不動明王について紹介していきます。

不動明王の由来は?
この不動明王は、サンクスリッド語でアーカラナータと言って、不動尊・不動金剛明王・不動使者などと訳されており、動じない、動かないの意味があります。
不動明王のルーツは、ヒンズー教の神であるシヴァ神と言われており、ブラフマー神・ヴィシュヌ神と並んでトリムールティ(三神一体)と言われております。
このシヴァ神は、創造と破壊の神様と表現される事があり、日本の七福神の中の1人である大黒天は、このシヴァから発展した神格であると考えられており、幸運と財の神としても人気となっています。
この不動明王の明は知識(ヴィデャー)という意味で、具体的にいうと陀羅尼(だらに)・真言(しんごん)などと呼ばれている呪文の事を指します。
この事から、明王とは呪文の王と言われております。
不動明王のスタイルは?
不動明王の特徴を表すものに、不動十九観というものがあり、以下に挙げますが条件に満たしていない不動明王像もあります。
1.天地眼、いわゆる左の目を閉じ右の目を開く事。
2.大日如来の化身である事。
3.額に水波のようなしわがある事。
4.右手に剣を持っている事。
5.自然石をかたどった大磐石(だいばんじゃく)の上に安座する事。
6.口を固く閉じる事。
7.左手に羂索(けんさく)・縄を持っている事。
8.色が醜く、青黒色をしている事。
9.童子(どうじ)の姿で、卑しく(いやしく)肥満である事。
10.矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制咤迦童子(せいたかどうじ)の2童子が侍している事。
11.真言中にア・ロ・カン・マンの4字がある事。
12.倶力迦羅竜(くりからりゅう)が剣にまとわりついている事。
13.左側に弁髪(おさげ)を垂らしたスタイルである事。
14.頭頂部に七沙髻(しちしゃけい)がある事。(いわゆる髪を二束に束ねて髻(もとどり)にしたもの単髻を7つの山形にしたもの)
15.炎の形をした光背に迦楼羅炎(かるらえん)がある事。
16.行者(ぎょうじゃ)の食べ残しを食べる事。
17.下の歯で右上の唇を噛んで、左下の唇の外に突き出す事。
18.激しく奮い立ち、忿怒している事。
19.常に火災の中で瞑想している事。
この不動明王は、空海によって日本に持ち込まれて、密教の最高位の大日如来の化身とも言われております。
普段は穏やかな大日如来ですが、優しさだけでは通用しない人達を救済するのに、あえて怒りの形相をしておられます。
邪悪な相手には徹底的に厳しくして、間違った道へ進もうとした人には、正しい道へ戻れるように言い聞かしてもらう存在であり、全国各地ではお不動さん、又は不動尊と呼ばれて親しまれております。
そして、不動明王は五大明王の中では中心的な存在でもあります。
この五大明王とは、四方の方角を守る明王であり、中央は不動明王、東には降三世明王(ごうざんぜみょうおう)、西には大威徳明王(だいいとくみょうおう)、南を軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)、そして北には金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)が位置しておられます。
葬儀の後の故人は、逝去された日を合わせ四十九日の間は、後世を定めるための修行をされると言われております。
その間、七日ごとに決まった仏様に逢われに行かれ、その最初の初七日の仏様がこの不動明王になります。
日本における不動明王信仰は、弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)が唐から持ち帰ってきた密教と共に広まったと言われております。
その弘法大師空海は、唐で学んだ請来図像や知識をもとにしてその姿を曼荼羅図に描かせて、自らも筆を執って図像を描いたとされております。
密教僧が行っている修法(しゅほう)には、どんなものであれ手に印を結んで、口には真言・陀羅尼を唱えて、心に本尊を念じながら行うとされております。
不動明王のご利益とは?
不動明王は家内安全・悪魔退散・国家安泰・修行者守護・除災招福(じょさいしょうふく)のご利益があると言われております。
不動明王の事が書かれている経典
大毘盧遮那成仏神変加持経(だいびるしゃなじょうぶつじんべんかじきょう)
不動明王の祭事は?
毎月28日は、真言宗では不動明王の縁日とされており、酉年の守り本尊とされております。
特に、1月28日は初不動として参拝者が多いです。
有名寺院
京都府 東寺(教王護国寺) 木造不動明王坐像(国宝)・・・右手には宝剣を持ち、左手には羂索を持っております。また真っ赤な火焔(かえん)を背負っております。
不動明王の真言は?
ノウマク・サンマンダ・バサラダ・カン