吉祥天とは、もとバラモン教の女神です。
今回は吉祥天について紹介していきます。
吉祥天の由来は?
この吉祥天は、サンスクリット語でシュリー・マハーデーヴィーと言い、大吉祥天女と訳されており、功徳天・摩訶室利(まかしり)とも呼ばれております。
インドの神話の中では、ラクシュミーと言われており、幸運、美、富の女神として愛されており、ローマ神話のヴィーナスのように海の泡から生まれた女神と言われております。
もとは、古代インドのヴィシュヌ神の妃で、財産と幸福を司っていると言われております。
このヴィシュヌとは、ヒンドゥー教の神でブラフマー・シヴァと共にトリムルティの1柱として重要な神格であり、特にヴィシュヌ派では最高の神として信仰を集めております。
日本では、この吉祥天は毘沙門天の妃とされており、5人の息子(五童子)の一人で末子とされている善膩子童子(ぜんにしどうじ)と吉祥天と共に、毘沙門天の脇侍を務める事もあります。
また、吉祥天の父親は徳叉迦(とくしゃか)で、母親は鬼子母神(きしもじん)と言われており、兄は婆藪仙人(ばすせんにん)であります。
妹は黒闇天(こくあんてん)であり、幸福を司る吉祥天とは反対で、妹の黒闇天は不幸や災いをもたらす神とされております。
しかし、この2つの神は常に行動を共にして、離れる事はないと言われております。
吉祥天のスタイルは?
吉祥天のスタイルは、中国の唐の貴婦人の服装をした二臂で身体は赤白色で美しく、様々な環釧(かんせん)、瓔珞(ようらく)、耳璫(じとう)、宝冠、天衣で飾られております。
右手は施無畏(せむい)または与願印を結んでおり、左手には如意珠を持っており、台座については蓮華座の他に荷葉座(かしょうざ)に乗るものが多く、その姿は天女のようであると言われております。
菩薩をはじめ髪の長い仏像に関しては、頭頂部で結い上げた姿で表現される事が多いのですが、吉祥天については髪を下ろしたスタイルの仏像も見られます。
吉祥天のご利益とは?
家内安全・財宝琴線・五穀豊穣・天下泰平・商売繁盛
吉祥天の事が書かれている経典
涅槃経・陀羅尼集経・毘沙門天王経
吉祥天の祭事は?
有名寺院
・京都府 浄瑠璃寺 吉祥天立像(重要文化財)・・・京都府木津川市にある真言律宗の寺院で、像の高さが90cmの吉祥天像は、本堂の九体阿弥陀の中尊の向かって左側に置かれている厨子の中に安置されております。
この吉祥天立像は、1975年4月22日に発行された初代1000円切手の絵柄のモデルとなっております。
・京都府 鞍馬寺 吉祥天女立像(国宝)
・奈良県 法隆寺 木造吉祥天立像(国宝)・・・夫である毘沙門天と共に、釈迦三尊像の左右に並んでおり、金堂に安置されております。
・奈良県 薬師寺 吉祥天女画像(国宝)・・・額のある麻布に描かれたもので、これは非常に珍しいとされております。
吉祥天の真言は?
オン・マカ・シュリエイ・ソワカ