孔雀明王とは、人間の最も嫌う猛毒をもつ蛇を食べる仏様です。
今回は孔雀明王について紹介していきます。

孔雀明王の由来は?
この孔雀明王は、サンスクリット語でマハー・マーユーリーと言って、偉大な孔雀という意味になります。
インドでは古来から、この孔雀は猛毒を持っている蛇や毒草・毒虫などを食べて、一切の怖畏(ふい)を滅ぼし、様々な病魔も除去するとし、神聖な鳥としてインドの国鳥にもなっております。
また、仏教では煩悩が蛇にたとえられており、その蛇を孔雀は食べる事から、煩悩を食い尽くして人々を救う力があるとされ、それが神格化されるようになったと言われております。
孔雀は、雨季の到来をいち早く告げる事ができ、雨をもたらす鳥ともされていたため、この孔雀明王は雨乞いのご本尊として、奈良時代から祀られておりました。
この孔雀明王は、明王でも忿怒の形ではなく、唯一の女神である菩薩のような表情をしておられ、摩訶摩揄利(まかまゆり)とも呼ばれております。
また、仏母孔雀明王経(ぶつもくじゃくみょうおうきょう)では、仏母金剛(ぶつもこんごう)や仏母大孔雀明王菩薩(ぶつもだいくじゃくみょうおうぼさつ)・孔雀王母菩薩(くじゃくおうぼぼさつ)という別名もあります。
孔雀明王のスタイルは?
孔雀明王の姿は、他の明王とは全く異なっており、武器ではなく果物を手にしており、顔の表情も忿怒相ではなく、とても穏やかな菩薩形をしております。
この孔雀明王の外見は、1つの顔に4本の腕がある、一面四臂(いちめんよんぴ)または、一面ニ臂が一般的な造りになっております。
2・4・6臂像があって、その中の4臂像は孔雀の蓮華(れんげ)と尾羽があり、倶緑果(ぐえんか)と吉祥果(きちじょうか)を手にしております。
この倶緑果は柑橘系(かんきつけい)の果実であり、吉祥果は桃に似ている果物で豊作・多産を意味しております。
仏母大孔雀明王経には、摩訶摩瑜利仏母明王大陀羅尼の呪文を唱えると、一切の害毒が取り除かれて安楽を得られると説かれて、信仰されておりました。
この日本では、役小角(えんのおづぬ)がこれを信仰したと言われており、山林の修行にはなくてはならないとされておりました。
綺麗な羽を大きく広げた孔雀の上に置かれている蓮台(れんだい)に乗って、4本の腕がありそれぞれに孔雀の羽=災いを祓う・吉祥果(きちじょうか)=悪を戒める・倶緑果(ぐれんか)=レモンに似た実で、ご利益を増す・蓮華(れんげ)=尊敬と親しみを表すとされております。
孔雀明王のご利益とは?
孔雀明王のご利益は、108の煩悩のうち三毒(おろそか・怒り・むさぼり)を食らって、延命や病気平癒などのご利益があると言われております。
孔雀明王の事が書かれている経典
孔雀経
孔雀明王の祭事は?
有名寺院
奈良県 正暦寺(しょうりゃくじ) 木造孔雀明王坐像(県指定重要文化財)・・・厄除け祈願のご本尊で、福寿院客殿に安置されております。
孔雀明王の真言は?
オン・マユラ・キランデイ・ソワカ