明王とは、忿怒で救済する仏様です。
今回は、明王について紹介していきます。

この明王は、如来と菩薩に次ぐ仏様ですが、その役割としては仏の教えに従わない者たちを正しい道に導く事です。
明王とは、サンスクリット語で明呪(みょうじゅ)の王という意味を持っており、明呪を唱えて智慧の能力が優れた者を指しています。
この明王は、忿怒(ふんぬ)の形相で火炎を背負っており、髪の毛は怒りで逆立っており、装飾のない法衣(ほうい)は片袖が破られており、武器を持っている姿で表現されております。
明王は、ヒンドゥー教のシバ神と密接な関係があると言われております。
明王は密教の本尊である、大日如来(だいにちにょらい)の化身とされています。
不動明王(ふどうみょうおう)をはじめとする五大明王(ごだいみょうおう)や孔雀明王(くじゃくみょうおう)・愛染明王(あいぜんみょうおう)など、いずれも密教独自の仏様です。
明王は、如来・菩薩とは違って、忿怒相(ふんぬそう)をもって救いがたい人間や生き物を、救済するために現れた仏と言われています。
明王の恐ろしいあの瞳は、悪魔を睨みつけているとよく言われています。
しかし、明王は悪魔を問題にしているのではないのです。
子供が何か危ない遊びをしていると、その母親は子供に注意をしますが、いうことを聞かずに子供は遊び続けます。
子供の遊びが、エスカレートしてこのまま放っておいたら命の危険にかかわるとわかると、母親は必死になって子供の遊びをやめさせようとします。
その時、母親の形相は子供からすると、恐ろしい顔に見えるが、それは救うための必死の形相なのです。
明王は、普通の方法ではいうことを聞かない人を厳しく従わせるために、怒りの表情である忿怒相(ふんぬそう)で救済するのが特徴的です。
不動明王(ふどうみょうおう)を中心とする降三世明王(ごうさんぜみょうおう)・軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)・大威徳明王(だいいとくみょうおう)・金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)の五大明王の他、愛染明王(あいぜんみょうおう)・六字明王(ろくじみょうおう)・孔雀明王(くじゃくみょうおう)などがおられます。