如来像の見分け方とは?
如来像は、悟りを開いたお釈迦様の姿を基本にしています。
今回は、如来像の見分け方を紹介していきます。

如来像の衣服
衣服は、全身を覆う一枚の「(衲衣(のうえ)」を着ているだけの姿です。
この衲衣とは、糞掃衣とも呼ばれ、便所を掃除する時に身に着ける粗末な衣服の事です。
これは、お釈迦様が一枚の布を身に着けただけで、6年間山野を駆け巡って苦行を行いました。
そのため、悟りを開いた頃には、つぎはぎだらけのぼろぼろになっていたと言われています。
その他の装身具については一切身につけていません。
お釈迦様が、29歳でお城を出て行く時、一切の飾り物を外しました。
まず、耳璫(じとう)いわゆる耳飾りを外すのですが、当時の耳璫はピアス式のため、耳たぶには穴があいています。
また、如来像の耳たぶに穴がありますが、これを耳朶環(じだかん)と言います。
衲衣の着方については、両肩を覆う通肩(つうけん)と呼ばれるものと、右肩を出して左肩だけ掛ける偏袒右肩(へんだんうけん)の2種類があります。
偏袒右肩については、左側が必ず隠される事については、左手が不浄と考えられていたからです。
如来像の髪の毛や頭
如来像の髪の毛は、パンチパーマのようなブツブツの髪型になっています。
これは、螺髪(らほつ)と呼ばれており、地肌にブツブツがついているわけではなく、髪の毛一本一本が右巻きに巻き貝のようにカールしてへばりついているのです(「螺」は巻き貝のことです)。
この髪型は、昔のインドの階級の高い人達の髪型に由来している、と言われております。
また頭の中央部分が盛り上がって、2段になっていますがこれを肉髻(にっけい)と言います。
これは如来は智慧(ちえ)が多く脳みそが、我々よりも多く詰まっていることを象徴しています。
額の中央の眉間に、4.5メートルもある白くて長い毛が生えており、それが巻尺のように巻きついて額にぴったりと張り付いています。
これは、白毫(びゃくごう)と呼ばれているものです。
彫刻を作る際に、この白毫を入れるのですが、白線描の場合と、額に穴をあけそこに白い胡粉(ごふん)のドロドロしたものを塗り水晶を差し込む場合があります。
そうすると、後者の場合は正面から白く見えて、その白毫が慈の光を表現していると言われています。
如来像の持物や手の形
如来像は持物(じもつ)がないのが基本ですが、薬師如来(やくしにょらい)の薬壺(やっこ)だけは特別です。
手足の指の間に水かきがあり、指が長いのが特徴的です。
足の裏には、めでたいしるしとして瑞祥(ずいしょう)というのがあります。
これは、足の裏が平らになっており千輻輪相(せんぷくりんそう)という模様が入っています。
この如来像は、似ている姿が多く持物の無いため、印または印相と呼ばれる手の形で見分けるのがポイントになります。